スローテンポでFlying Lotus的なベース音、EDMでよくあるようなシンセサイザーの成すフレーズが特徴であり、ボーカルもエコーが多めにかかっていて、神秘的である。
The WeekendやFrank Oceanがつくった潮流であろうか。
あるいはFlorence and the MachineやJames Blakeなどにも影響されているかもしれない。
その神秘的R&Bの新星、Tinasheのシングル曲「Pretend」のビデオを見た。
どこかで見たことがある映像の類型を感じた。
それはZeddの『Clarity』とNe-Yoの『So Sick』だ。
カメラが人物に迫っていく感じと山や自然が感じられるところが似ていると思った。
調べてみると、やはりZeddの『Clarity』は同じディレクターのビデオだった。
ディレクターの名前はJodeb。
カナダはケベック州の出身だ。
Jodebの手掛けた作品
- Cypress Hill & Rusko 「Roll it, Light it」
- Deftones 「You've Seen the Butcher」
- Underoath 「Paper Lung」
- The New Cities 「Dead End Countdown」「Leaders of the Misled」「Looks Minus Substance」
- Porter Robinson 「Language」「Lionhearted」
- David Usher 「Je repars」
- Zedd 「Clarity」「Find You」
- Unberlin 「Unstable」
- Sebastian Ingrosso & Tommy Trash 「Reload」
見てみると、Tinasheの「Pretend」なんかは一番おとなしい感じのビデオだ。
山の崇高性が作品に奇妙な神秘感を与えている。
しかし、彼のビデオの主な特徴は大きな自然を高画質に映すことではなく、Sci-Fi的な世界観と工数の多そうなデジタル映像処理だ。
Cypress Hill & Ruskoの「Roll it, Light it」やPorter Robinsonのビデオなんかは大変手間がかかっていそうで見応えがある。
イメージビデオとして空間に流すだけで、一種のインテリアデザインになるくらい、もはや音楽ビデオの枠組みを超えてしまっている。
個人的に一番好きなのはUnderoathの「Paper Lung」だ。
最初はおとなしめだが、雪原やお墓、大海原などのやはり「景色」でイメージ作りをした後の、後半が圧巻である。
シャウトと共に映像が赤に反転、明滅し、様々なシンボルが切り替わる。
感傷的な映像や破壊的な演出で終わりがちなハードロックの印象を変える作品ではないだろうか。
・・・
ちなみに、残念ながらTinasheとは関係のなかったNe-Yoの「So Sick」はHype Williamsというアメリカの映像ディレクターの作品だった。
調べてみると、TLCの「No Scrubs」やMissy「The Rain」、Left Eyeの「Block Party」を手掛けるなど、大御所もいいところ。
元祖未来系R&Bの映像をけん引した御仁だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿