2015年12月6日日曜日

ソングライターという仕事~ブルーノ・マーズ、エミリ・サンデー、シーアの場合

ソングライターは本来裏方で作詞作曲を行う職業人のことを言うが、最近は彼らも表舞台に出て歌手活動をすることも多いと感じる。



Ne-yo、Lady Gaga、Bruno Mars、Keri Hilson、Jessie J、Emeli Sande。
プロデューサーが名が売れてから歌手デビューするケースは前にもあったが、作詞作曲担当からデビューする数は最近の方が多いのではないかと思う。



それは、裏方の人には表に出る欲がない人が多かったからと、そう簡単に歌手デビューできるものではなかったからではないだろうか。
昔はある種のカリスマ性や会場を埋め尽くせるスター性のようなものが必要とされた印象がある。



ソングライターとは一体どういった仕事をする職業なのか。
Emeli Sandeによると、「ソングライターは好きな時間に起きて、好きな時間に仕事する余裕のある仕事」だったという。



Emeliはレーベルと契約したときの感情を「Clown」という歌にした。
ソングライターだったEmeliがレーベルに説得されてアーティスト契約する際の、納得のいかない感情と、大きなものに屈して自分の大事なものを手放してしまったかのような敗北感について切々と歌い上げている。



Bruno Marsの場合はハワイから出てきたばかりの段階で、曲を聴いた業界人から曲を売ってくれないかと言われ、お金のために売ったという事情が当初の成り行きだったようだ。
自分のアルバムを出したかった彼は渋々承諾したものの、昨今のレーベルは新人発掘に乗り気ではなく、既に売れ始めているアーティストにいい曲を与えることに心血を注いでいることに気が付いた。



ほどなくしてBrunoはまずは裏方として業界に入り、そこからソロデビューにこぎ着けようと画策し、プロデュース業、作詞作曲を始めたという。
彼には先見の明があったのは明らかで、実際にデビューも成功し、間もなく人気を獲得している。



Siaは長い下積み生活を経て、EDMでの客演で多くのリスナーを獲得した歌手だが、ソングライティングの生産性は業界の中でもかなり高い方だろう。
始めに制作に関わったのは、Christina Aguileraのアルバム『Bionic』。



Christinaの方から曲を書いてほしいと頼まれたらしい。
そこから彼女の作詞作曲キャリアがスタートするが、その後は名だたるアーティストと仕事をしている。



Siaが思い出深いのはBeyonceとの仕事だそうだ。
多数のプロデューサー陣、ライター陣と一つ屋根の下に集められ、集団生活をし、トラックメイキングを行ったようだ。



各部屋にBeyonceがやってきて、「こういう感情を歌にしてほしい」とか「あの曲のコーラスとこっちの曲のバースが好きなんだけど、くっつけてくれないか」などと注文を受ける。
25曲近く作ったが、蓋を開けてみると収録は『Pretty Hurts』のみだった。



外から見ると、机とペンと紙があればできる、何ともプリミティブで知的で高等な職業に見えるソングライティング。
実際には、書くことが好きだからやっているという天職的な人ばかりではなく、実は歌手志望で今はとりあえずお金のために作詞作曲しているという人が意外と多い。