2014年5月16日金曜日

ハローキティとデ・ステイル

「Cool Japan」に「Harajuku Kawaii」。
政府や企業が後ろ盾になり、サブカルチャーを発信する。
そうして、外国人に気に入られ、不動の人気を誇るようになったものは数多く存在する。
その中に株式会社サンリオのキャラクター、ハローキティがいる。


ハローキティの誕生は1974年。
当初は女子児童向けキャラクターだった。
その後70年代おわりに人気が低迷するも、何度か一時的ブームが起こり、90年代後半には、華原朋美のキティ好き発言により、若者の人気が再発。


華原朋美と言えば、全盛期に「原宿で一人で牛丼に行く」と音楽番組で語っていたのを覚えている。
「つゆだく」、「だくだく」などの用語を楽しそうにタモリに語っていた。


うら若い女性が、一人で原宿の牛丼屋に行く。


このキャッチコピーのような一文だけでもかなりブームメイカーとしての素質を感じる。


「うら若い女性が一人で飲食店に行く」
ここでまず、彼女のユニークな行動力が露呈している。
行先は「牛丼屋」。
女子だからヘルシー志向かといえば、別にそんなことはなく、牛肉の乗ったどんぶりというギャップ。
場所は「原宿」。
場所の選択が完璧である。若者文化の最先端を行く場所の一つ。


そんなセンスの良さを兼ね備える華原朋美がキティ好きと言えば、フォロワーが後に続かないわけがない。


海外に関して言えば、香港、台湾、シンガポールなどではマクドナルドがキャラクターとして使用し、キティのぬいぐるみの付録が出るなどし、人気を博した。
そうしていくうちに、原宿文化が海外に伝わり、その際原宿にあるキディランドのおかげで欧米にも伝わったのではないだろうか。


なぜこうもハローキティは人気なのか。
同じ世界的人気キャラクターにミッキーマウスが居るが、大人にとってはイメージとして、どうしてもディズニーという会社がちらつく。
しかし、ハローキティはそこまでサンリオの影がなく、色々な商品にてお目見えしていて、Zippoやワインなど、子供向けキャラクターにしてはファンキーな性格も帯びている。


そうした寛容さに加え、何と言ってもあの口のない子猫というシルエットの汎用性が強みだと言える。女子の象徴であるリボン一つで、性別の表現をするという抽象性。
色彩も黒い主線に赤、黄、青、たまにピンクというユニバーサルなものを採用。


しかしながら、やはりまだもう一人、キティ人気の影に潜む強敵がいると思う。
ミッフィーだ。
太い主線に、ミニマリスティックな描写、色使い。
どうしても似ていると言わざるを得ない。


実際、サンリオは「キャシー」というキャラクターに関して、ミッフィーの著作権管理会社「メルシス社」に著作権侵害で2010年に提訴されている。
その後、東日本大震災を機に両社は和解したが、たとえ直接的にハローキティのデザインがミッフィーを全く参考にせず作られたにしても、様式として似ている。


ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナはオランダのグラフィックデザイナーである。
その作品はオランダの芸術運動、「デ・ステイル」に影響を受けている。
主線、幾何学性、簡単で限定的な色数、最小限、そういった美的様式を汲んで、ミッフィーが生まれた。


ハローキティがミッフィーに似ているということは、ドイツのバウハウスのみならず、日本にも「デ・ステイル」の影響が及んだとも考えられるのではないか。

2014年5月6日火曜日

アヴリル・ラヴィーンの新曲の日本人像

Avril Lavignの新曲「Hello Kitty」が不評である。
ぎこちない踊り、意味のない歌詞、ロボットみたいな日本人バックダンサーという意味不明さが原因だそうだ。




真顔あるいは、仮面のような作り笑顔の日本人はアメリカ映画や音楽ビデオにたまに登場する。
Gwen StefaniがHarajuku Girlsを従えてソロ作品を発表した時も、「人種差別的だ」と批判された。



今回のAvrilのビデオも人種差別的だと批判されている。
しかし、AvrilもGwenも日本の原宿・渋谷文化が大好きだということは、本人たちの弁解を聞かずしても分かる。



アメリカ人にとって、日本人はどうみられているのだろうか。
映画「Kill Bill」のGo Go Yubari、菊池凜子演じるの多くの役、Harajuku Girls。
彼らの特徴は表情をあまり変えず、おとなしく、どちらかといえば従順な感じだろうか。
列があれば列に並ぶし、人ごみでも押し合うことはなく、待てと言われればいくらでも待つ。
そういう感じだろうか。



そういう無表情で、おとなしく、従順な人種像を究極化した形がHarajuku Girlsであり、Avrilのビデオのバックダンサーなのだと思う。
もちろんその中では原宿文化が取り上げられており、Avrilの場合はハローキティが特集されているが、それは本稿の趣旨ではないので、またの機会に。

2014年5月4日日曜日

2010年頃に流行った映像ディレクターMelina Matsuokas

YouTube探索中に見つけたので、調べてみた。


Melina Matsoukasは南米系ギリシャ人の映像ディレクター。
ニューヨーク大学での専攻は音楽映像。


彼女は音楽映像についてこう述べている。
"A good video has the right visuals, a well conceptualised story and should be
exciting and elicit reaction."




彼女の手がけたPVを大別すると、7つに分かれる。
 ①オールディーズ系
  例:Beyonce / Why Don't You Love Me
    Lily Allen / Not Fair
    Katy Perry / Thinking Of You
    Snoop Dogg / Sensual Seductions
    Ashanti / Good Good
    Anouk / Modern World


 ②フューチャリスティック系
  例:Ciara / Go Girl
    Ne Yo / Closer
    Keri Hilson / Return The Favor
    Kylie Minogue / Wow


 ③ポップアート系
  例:Solange / I Decided
    Rihanna / Rude Boy
    Kylie Minogue / In My Arms


 ④プロレタリア・ミリタリー系
  例:Rihanna / Hard
    Ciara / Work / Gimmie Dat


 ⑤モノトーン系
  例:Beyonce / Suga Mama / Diva
    Rihanna / Rockstarr 101
    Elektrik Red / So good


 ⑥シュールレアリスムス系
  例:Beyonce / Kitt Kat / Sweet Dreams


 ⑦ラグジュアリー系
  例:Lady Gaga / Just Dance / Beautiful Dirty Rich
    Robin Thicke / Sex Therapy
    Whitney Houston / Million Dollar Bill
    Eve / Tambourine
        Beyonce / Upgrade U




これだけあるとかなり業界に貢献している人の一人だと言えるのではないか。
僕が彼女を知ったきっかけはRihannaのRude Boyの音楽映像。




M.I.A.制作かと思ったら、違った。
M.I.A.も映像をカレッジで学んだ口である。
現代アートを学んでいなければ、クラブレゲエにキース=へリングはないだろう。
ビビっと電撃が走った。