2016年7月7日木曜日

シーア化するリアーナ

いつごろからだろうか。
Rihannaの歌が上手いと思うようになったのは。



「Four Five Seconds」くらいのときには既に何か変化を感じていた。
しかし、彼女のアルバムを今まで一度も買ったことがなかったので、しっかりとその変化を感じ取れなかった。



デビュー時の彼女はクラブレゲエ調の歌唱法だったので、それはそれでカッコよかった。
しかし、その当時似たアーティストは多かったので僕は買うに至らなかった。
Nina SkyやRumidee、もっと前はNelly Furtadoである。



それぞれ音楽的背景も民族性も違うだろうに、自分的には同じカテゴリーに入れていた。
すなわち「ソウルフルでラガマフィン風」。



Rihanna自身はディーバになることを目指していたのかもしれない。
何せデビューのきっかけとなったオーディションで歌った曲はマライアの「Hero」である。
そのころのボーカルはまだか弱く、時折裏返り、お世辞にも上手いとは言えなかった。
デビュー後にAmerieらと共にDestiny's Childに捧げた「Lose My Breath」のパフォーマンスでもそんなに変わってはいなかった。



それがSiaが提供した「Diamonds」くらいからか、少しずつ変わってきた。
今ではヘッドボイスが大きくなり、安定し、声の破裂(voice crack)までも技術として駆使できるようになっている。



Billboard Music Awards 2016での「Love On the Brain」の歌唱も伸びやかで、ヘッドボイスも安定し、裏声も綺麗、しゃがれ声も多用していて十分なステージング。
本人も出来に満足したのか、歌い終わった瞬間にオフマイクで「Wooh!」と言っているのが口の形から読み取れる。



2016年6月30日にYoutubeに掲載された「Sledgehammer」では遂にカービィの如く、Siaの歌唱法をもコピー。
Siaのデモと声の相性が良かったのだろう。
ビデオを見ないでいると、SiaかRihannaか迷うくらい似ている。


これはしかし、Siaの歌を真似した結果、Rihannaの歌が上手くなっているという現象だと思う。
したがって、「Diamonds」以降の進化の影にはSiaのデモ音源の力があるのではないか。
Rihannaの声に合ったボーカルコーチはMariahではなく、Siaだったのだ。



新作「Anti」はBjorkも好んで聴いているというし、やっとRihanna作品の中で買おうかなと思うものが登場した。
Adeleの新作のせいで発売延期にしただけあって、自信作だったのだろう。



まだ28歳。
あと10年くらいは歌い手として成長し続けることができると思う。
Rihannaが授賞式会場を満場総立ちにする日もそう遠くないかもしれない。



Rihanna - Vocal evolution 2006-2016