Rihannaの歌が上手いと思うようになったのは。
「Four Five Seconds」くらいのときには既に何か変化を感じていた。
しかし、彼女のアルバムを今まで一度も買ったことがなかったので、しっかりとその変化を感じ取れなかった。
デビュー時の彼女はクラブレゲエ調の歌唱法だったので、それはそれでカッコよかった。
しかし、その当時似たアーティストは多かったので僕は買うに至らなかった。
Nina SkyやRumidee、もっと前はNelly Furtadoである。
それぞれ音楽的背景も民族性も違うだろうに、自分的には同じカテゴリーに入れていた。
すなわち「ソウルフルでラガマフィン風」。
Rihanna自身はディーバになることを目指していたのかもしれない。
何せデビューのきっかけとなったオーディションで歌った曲はマライアの「Hero」である。
そのころのボーカルはまだか弱く、時折裏返り、お世辞にも上手いとは言えなかった。
デビュー後にAmerieらと共にDestiny's Childに捧げた「Lose My Breath」のパフォーマンスでもそんなに変わってはいなかった。
それがSiaが提供した「Diamonds」くらいからか、少しずつ変わってきた。
今ではヘッドボイスが大きくなり、安定し、声の破裂(voice crack)までも技術として駆使できるようになっている。
Billboard Music Awards 2016での「Love On the Brain」の歌唱も伸びやかで、ヘッドボイスも安定し、裏声も綺麗、しゃがれ声も多用していて十分なステージング。
本人も出来に満足したのか、歌い終わった瞬間にオフマイクで「Wooh!」と言っているのが口の形から読み取れる。
2016年6月30日にYoutubeに掲載された「Sledgehammer」では遂にカービィの如く、Siaの歌唱法をもコピー。
Siaのデモと声の相性が良かったのだろう。
ビデオを見ないでいると、SiaかRihannaか迷うくらい似ている。
これはしかし、Siaの歌を真似した結果、Rihannaの歌が上手くなっているという現象だと思う。
したがって、「Diamonds」以降の進化の影にはSiaのデモ音源の力があるのではないか。
Rihannaの声に合ったボーカルコーチはMariahではなく、Siaだったのだ。
新作「Anti」はBjorkも好んで聴いているというし、やっとRihanna作品の中で買おうかなと思うものが登場した。
Adeleの新作のせいで発売延期にしただけあって、自信作だったのだろう。
まだ28歳。
あと10年くらいは歌い手として成長し続けることができると思う。
Rihannaが授賞式会場を満場総立ちにする日もそう遠くないかもしれない。