2017年4月11日火曜日

白人の肌感覚のアリシア・キーズ

誰でもキム・カーダシアンやジェニファー・ロペスのようになれるシェーディングメイク。
これをすれば顔の部位の高さに合わせて大胆に影とハイライトを入れることができ、舞台映えするレッドカーペット仕様のお顔の出来上がりである。


このようなシェーディングメイク(contour makeup)が流行る中、すっぴんを決め込む女性がいた。
アリシア・キーズだった。


すっぴんだの、妊婦ヌードだの、ありのままの<私>でいることも大変である。
このような素肌や裸が注目されるようになったのはいつからだろうか。


僕の場合、記憶の中で一番古いマタニティ・ヌードはブリトニー・スピアーズで、一番最近がビヨンセだ。
だが調べてみると、1991年にすでに身重のデミ・ムーアが裸で雑誌の表紙を飾っているようだ。


ノーメイク運動もいつから始まったのかはよく分からない。
しかし、数年前からハリウッド女優やモデル、歌手が「すっぴん」と称して自分の写真をソーシャルメディアに載せていたのは確かだ。


ハリウッド映画界やモデル界は、いかに内面から美しくいるかとか、ヨガやキックボクシングをして肉食を断つとか、そういった美意識高め系のクラスターが大多数だと思うので、「すっぴんも美しく」という感覚は分かる。
これは素の美しさを究極的な美しさとみなす美意識とも取れる。


10年くらい前に、韓国では美しいすっぴんがブームになっていると聞いたことがある。
美容熱も行き過ぎるとそこまで行くかと当時は思ったが、何だ、時代を先取りしていたのではないか。


素肌美を自慢するハリウッド・モデル界の大多数とは別に、子どものころに容姿のせいでいじめに遭い、長らく自分自身の容貌が嫌いで自信がなかったけど、大人になって自分の美に気がついたというデミ・ロヴァートのような人もいる。


アリシアも昔から化粧という名の他人の目を気にした行為が嫌いだったというから、デミと同じく、解放型である。


ハリウッド・モデル界の自称すっぴん画像が、もれなく風呂上りの光の反射が良い瞬間だったり、目や唇だけ化粧を施していたりすることがあるが、やはり、それも美意識のなせる技――。
彼らにとっては、本当に文字通りすっぴんであることよりも、結局は美しくあればそれでいいのだ。


2016年5月くらいからすっぴん運動を始めたアリシアはというと、化粧水・乳液くらいは付けてるのだろうか。どこまでをすっぴんと呼べるのか。実はアリシアの場合はアイシングをしたり、オイルを塗ったりして、すっぴんながら、肌の血色がよく見えるようにそれなりに工夫をしているらしい。
さすがに起き抜けの顔ではレッドカーペットの上を歩けないようだ。


ところで、このすっぴん運動、あまり黒人の参加が見られない。
アリシアが他人の目を気にするのを止めた一方、黒人たちは各々が好きなウィーブを身につけ、ネイルもばっちり、顔はシェーディングメイクで派手に宜しくやっているのであった。


黒人は元々、「Black don't crack」などという常套句があるくらい、老けて見えにくいと言う。
おそらく素肌の美しさ自体には自信があるはずである。


白人の賛同者が多いすっぴん運動だが、誰が賛同しようと、反対しようとアリシアは気にしないだろう。
それがそもそも、この運動の初心だったはずだからだ。