「Cool Japan」に「Harajuku Kawaii」。
政府や企業が後ろ盾になり、サブカルチャーを発信する。
そうして、外国人に気に入られ、不動の人気を誇るようになったものは数多く存在する。
その中に株式会社サンリオのキャラクター、ハローキティがいる。
ハローキティの誕生は1974年。
当初は女子児童向けキャラクターだった。
その後70年代おわりに人気が低迷するも、何度か一時的ブームが起こり、90年代後半には、華原朋美のキティ好き発言により、若者の人気が再発。
華原朋美と言えば、全盛期に「原宿で一人で牛丼に行く」と音楽番組で語っていたのを覚えている。
「つゆだく」、「だくだく」などの用語を楽しそうにタモリに語っていた。
うら若い女性が、一人で原宿の牛丼屋に行く。
このキャッチコピーのような一文だけでもかなりブームメイカーとしての素質を感じる。
「うら若い女性が一人で飲食店に行く」
ここでまず、彼女のユニークな行動力が露呈している。
行先は「牛丼屋」。
女子だからヘルシー志向かといえば、別にそんなことはなく、牛肉の乗ったどんぶりというギャップ。
場所は「原宿」。
場所の選択が完璧である。若者文化の最先端を行く場所の一つ。
そんなセンスの良さを兼ね備える華原朋美がキティ好きと言えば、フォロワーが後に続かないわけがない。
海外に関して言えば、香港、台湾、シンガポールなどではマクドナルドがキャラクターとして使用し、キティのぬいぐるみの付録が出るなどし、人気を博した。
そうしていくうちに、原宿文化が海外に伝わり、その際原宿にあるキディランドのおかげで欧米にも伝わったのではないだろうか。
なぜこうもハローキティは人気なのか。
同じ世界的人気キャラクターにミッキーマウスが居るが、大人にとってはイメージとして、どうしてもディズニーという会社がちらつく。
しかし、ハローキティはそこまでサンリオの影がなく、色々な商品にてお目見えしていて、Zippoやワインなど、子供向けキャラクターにしてはファンキーな性格も帯びている。
そうした寛容さに加え、何と言ってもあの口のない子猫というシルエットの汎用性が強みだと言える。女子の象徴であるリボン一つで、性別の表現をするという抽象性。
色彩も黒い主線に赤、黄、青、たまにピンクというユニバーサルなものを採用。
しかしながら、やはりまだもう一人、キティ人気の影に潜む強敵がいると思う。
ミッフィーだ。
太い主線に、ミニマリスティックな描写、色使い。
どうしても似ていると言わざるを得ない。
実際、サンリオは「キャシー」というキャラクターに関して、ミッフィーの著作権管理会社「メルシス社」に著作権侵害で2010年に提訴されている。
その後、東日本大震災を機に両社は和解したが、たとえ直接的にハローキティのデザインがミッフィーを全く参考にせず作られたにしても、様式として似ている。
ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナはオランダのグラフィックデザイナーである。
その作品はオランダの芸術運動、「デ・ステイル」に影響を受けている。
主線、幾何学性、簡単で限定的な色数、最小限、そういった美的様式を汲んで、ミッフィーが生まれた。
ハローキティがミッフィーに似ているということは、ドイツのバウハウスのみならず、日本にも「デ・ステイル」の影響が及んだとも考えられるのではないか。
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