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2014年11月30日日曜日

ロードの郊外論

Lordeの『Royals』を初めて聴いたとき、都市社会学的な側面からの現代批判だなと思った。
よくよく聴いていると、それは更に奥深いことが分かった。



『Royals』は以下の特徴があると思う。

  • 都市社会学的な郊外批判。
  • アメリカ中心主義的な大衆音楽への異論。
  • 郊外に育った人間としての自己言及。
  • 社会学的ヤンキー論。
  • 貴族政治への憧憬。




そのどの点においても面白い。
そういった現代批判を前面に打ち出した歌手としては、かなり久しぶりの逸材である。



中でも一番強烈なのは、やはり郊外論と自己言及である。
ニュージーランドの都心部にもほど近い住宅街で育った彼女なりの郊外に関する描写。



彼女はカリフォルニアのバレーガールでもなければ、ブルックリンのドン・ディーバでもない。
ブロンクス出身のジェニーでもなければ、兄弟愛の街フィリーの歌姫でもない。
19世紀にポリネシアに建国した島国の、都市部の住宅街に住む十代である。



バスに乗らなければ、どこにも行かれない。
バスに乗るには何十分も寂れたバス停で待機しなければならない。
親の車に乗って、買い物に出かける手もあるけれど、それには親と行動を共にしなければならない。
パーティに行くには電車を使い、いくら持ってきたか、友達と車内でお札を数えるのが関の山だ。



しかしテレビをつければ、ブリンブリンの誇示、貧困街のギャング、大きなプールに庭付きの戸建てでの乱痴気騒ぎ、惚れた腫れたの話、可愛いネェちゃんとの乳繰り合いなどの曲がかかっている。



彼我の懸隔をLordeは感じただろう。
日本とアメリカほどではないが、ニュージーランドの十代の世界とアメリカ西海岸的世界には大きな距離があったはずだ。



それは以下の詞にも表されている。
That kind of luxe just ain't for us.
We crave for different kind of buzz.



仲間内で仕切りキャラになり、ちょっとした女王様気取りで充分、どうせ中世の貴族社会には属することはできないんだから、キャデラックやダイヤモンドごときで、上流階級を気取るなんて野暮である、と唱えるのがLordeの価値観だ。



Royalsはアメリカ的ヒップホップやポップの世界観批判をし、郊外出身の十代の気持ちを表現した。
それに対して、「シャッター商店街を素通りして、仕方なくロードサイドの巨大ショッピングモールに、親の運転で行くしかない人々」が共感した。



東京に例えると、六本木、リムジン、何百万円のワイン、高級時計、湾岸のタワーマンション。
でもせいぜい果ては成り上がりであって、皇族には成れないのであり、そんな世界とは無縁な私は練馬の住宅街から親の運転で入間のショッピングモールに向かうのである。

2014年10月3日金曜日

ロードの音楽はロックなのか

MTV Video Music Awards 2014で、LordeはBest Rock Videoを受賞した。
これには一般の視聴者もファンも驚いた。
確かにちょっと服装がゴシック調だけど、音楽は全然ロックではないではないか。



それで色々調べてみた。
ロックに分類される原因となりそうな要素を箇条書きにする。



  1. 以前、ロックバンドを組んでいた。
  2. パンクバンドのボーカリストであるJoel Littleがデビュー作の主要なプロデューサーである。
  3. Nirvanaと演奏をしたことがある。
  4. 他のアーティストのことに批判的に言及する。


こう見ていくと、やはりプロデューサーの力が大きいだろうか。



消去法説
積極的にロックに分類されたのではなく、消去法でロックに分類された可能性もある。
ポップ/ロックには入るだろうけど、どちらかと言ったらポピュラー(大衆的)な感じはなく、反骨精神があるし、服の色も黒いのでロックとされたのかもしれない。



とはいえ、1stアルバムはLana Del Reyを参考に作られたのであって、ファンもLana Del ReyやJessie Wareの「Wildest Moment」の延長のような、シンプルなビートとボーカルに現代批判的な歌詞を乗せたストリートライクな音楽として受け止めたはずだ。



あれをロックと言ってしまうと、ロック愛聴家も黙ってはいられない。そういうリスナー不在の放送局やレーベル、音楽団体の勝手な方針に、どれほどのファンが付いていくだろうか。



一部には「MTVがVMAsで、Ariana Grande、Katy PerryとLorde全員に賞をあげたかったからではないか」といった憶測も出ているが、そう思われても仕方がないくらい、Lordeの1stがロックと分類されるのは違和感があるのだ。